――貴方に友達はいますか?

 生憎と、私にはいませんでした。






 だから、どうしてでしょうか。



 何故、こんなことに――なったのか。




 現代から逃げ伸びた現人神、東風谷早苗は困惑の中にあった。
 己の中に閉じこもる事を処世術とした東風谷早苗が初めて畏怖した人間、博麗霊夢。
 自分とは違う形で「友達はいない」という彼女は、早苗に「友達になるように」と、強引に迫られたからだ。
 酔った席での冗談。
 その時ばかりの戯れ。
 だが、博麗霊夢は本気で「友達」を求めていたし、そして、その「友達」とは――
 我々が抱く価値観とは、とても大きくかけ離れていた。





 ――アンタに「友達」はいる?

 生憎と、私にもいないのよ。







 ああそうだ。



 だから――こうなる。



 好意という名の暴力。
 博麗霊夢は「友人」東風谷早苗に、彼女の足りないもの全てを、与えるつもりであった。
 愛しい愛しい「友達」のために――そのような詭弁で、東風谷早苗の、ずっとずっと奥深くへと、彼女の好意は侵食する。



 我々にとって、友達とは何なのか。
 彼女達にとって、友達とはどのような形をしているのか。




 「東風谷早苗友人録」




幻想郷の怪物と、人でなしの現人神による、一番初めの「友情劇」が始まる。










原作 上海アリス幻樂団

著作 にわかあめ

絵師 cis(カルカリアス)

巻末漫画 wi-z GARAGE


主演 東風谷早苗、博麗霊夢

霧雨魔理沙


C82 二日目 ソ 46b にわがらげ にて頒布

B6判 86P 700円予定




 ――筋肉もあるよ?













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